DIFF ANALYSIS / 2026-07-30 実測

差分分析:v1(図解版)× v2(読み物版)
同じテーマの2つのHTMLは、何がどう違うのか

改正個人情報保護法「AI開発特例」を扱った2つの自作HTML(v1=zukai-clarity/v2=editorial-navy)を、実測データと5つのフレームワークで科学的に比較し、V3統合の設計判断につなげる。

まず30秒で結論

同じ事実を扱いながら、v1は「構造を見せる図解」、v2は「理解を積み上げる読み物」。情報量・組織化・認知経路・デザイン言語のすべてが対照的で、優劣ではなく役割分担だった。

本文文字量(実測)
3,457 vs 7,186
v2はv1の約2.1倍。読了時間換算 約7分 vs 約14分(500字/分)
内容の重なり
共通は約4割
主要トピック20個中、両方に載るのは8個(MECE分解による)
デザイン言語
意味色5系統 vs 抑制3色
絵文字28 vs 1、角丸18箇所 vs 3箇所(円形のみ)
結論
相互補完
v1=概観・判断用/v2=深耕・学習用 → V3で統合

① 内容の差分FRAMEWORK: MECE/ベン図

両ファイルの見出し・本文からトピックを抽出し、「v1のみ/共通/v2のみ」にモレなくダブりなく分解した。

v1のみ(図解版の独自価値)

  • Before/After対比フロー図(同意の壁→特例ゲート)
  • OK/NG具体例の2カラム対比
  • 賛否の対立構図(賛成・反対の会派名、付帯決議)
  • 執行強化の詳細(緊急命令・不正取得罪の新設経緯)
  • その他改正の網羅(漏えい通知緩和・委託先規律など6点)
  • 詳細タイムライン(衆院通過・施行期限日)

共通(両方に載る核)

  • 成立の事実関係(7/10成立・公布後2年施行)
  • 特例の仕組み(30条の2・同意不要の第三者提供)
  • 担保措置(公表・書面合意・目的拘束・安全管理=4つの鍵/GUARD)
  • 「個人への評価・決定はNG」の線引き
  • 要配慮個人情報が対象になり得る論点
  • 課徴金制度(1,000人基準)
  • 実務チェックリスト
  • 出典・免責

v2のみ(読み物版の独自価値)

  • 用語定義ボックス(個人情報・第三者提供・要配慮・PPC等)
  • ○△✕の射程整理(LLM事前学習=グレーゾーンの明示)
  • 業界別ユースケース6枚(従来→特例で→必要な項目例)
  • なぜ生データが要るのか(3つの劣化+ONE POINT)
  • 加工情報の4分類(生/仮名/匿名/個人関連)
  • 日・米・欧・中の国際比較
  • 残る課題3点(誤解・透明性・規則待ち)と引用ブロック

※ 判定基準:同一トピックでも粒度が明確に違うもの(例:課徴金はv1が詳しい)は「共通」に置き、詳しい側をV3の採用元とした。

② 定量比較実測メトリクス

2026-07-30に両ファイルをスクリプトで機械計測した値(方法は末尾の方法論参照)。数値が2つの設計思想をそのまま映している。

指標v1(図解版)v2(読み物版)解釈
ファイルサイズ24.6 KB38.3 KBv2が1.6倍。本文量の差が主因
可視本文文字数(タグ・空白除去)3,457字7,186字v2はv1の2.08倍。v1は「読む量を減らす」設計
大見出し h298章の数はほぼ同じ=トピック粒度は同水準
小見出し h31533v2は章内を細かく刻む=階層が1段深い
h3あたり本文文字数約230字約218字1ブロックの重さは同等。差は「ブロック数」で生まれている
CSS行数171行255行v2は部品種類が多い(17種 vs 14種)
ユニーク色数(CSS内hex)26色44色v2は明暗2モード分の色定義を持つため多い。ただし系統は3系統+金に抑制
border-radius使用箇所183v1=角丸カード基調(柔)/v2=直線基調(硬)。v2の3箇所は円形バッジのみ
絵文字・記号アイコン281v1は絵文字を分類記号として使用。v2はほぼ排除し文字だけで組む
本文文字数
v1 3,457字
v2 7,186字(2.08倍)
小見出し h3 の数
v1 15
v2 33
角丸の使用箇所
v1 18
v2 3
絵文字アイコン
v1 28
v2 1

③ 情報の組織化の違いFRAMEWORK: LATCH(Wurman)

情報の整理法は5種類しかない——場所(Location)・五十音(Alphabet)・時間(Time)・カテゴリ(Category)・階層(Hierarchy)。両者は主軸が明確に違う。

v1=カテゴリ並列+時間軸(空間配置型)

①〜⑧の番号付きセクションを並列に置き、どこから読んでも成立する。Before/After・OK/NG・賛否と「左右対比」を多用し、最後だけ時間軸(タイムライン)で締める。ページ自体が1枚のダイアグラム。

主軸: Category副軸: Time読み方: 拾い読み可

v2=階層+物語構造(線形読解型)

SECTION 01→08が論理の積み上げになっており、順番に読む前提。「何が変わった→本当の射程→ユースケース→なぜ生データ→担保→世界比較→残る課題」と、疑問が次の章で回収される構成。用語ボックスで階層の土台(定義)を都度固定する。

主軸: Hierarchy副軸: Category読み方: 通読前提

④ 読者の頭の中で起きることの違いFRAMEWORK: 二重符号化理論・認知負荷理論

「図解 vs 読み物」の差を、学習科学の2理論で説明する。

二重符号化理論(Paivio)

v1は視覚チャネルを最大動員する

人は言語情報と視覚情報を別チャネルで符号化し、両方使うと記憶に残りやすい。v1はフロー図・意味色・絵文字・左右対比で視覚チャネルに載せる情報が多く、「壁→ゲート」のような空間的メタファーで構造そのものを画像として記憶させる。一方で細部のニュアンス(例:LLMがグレーである理由)は削ぎ落とされる。

認知負荷理論(Sweller)

v2は内在的負荷に正面から向き合う

法律という題材は要素間の相互作用が多く内在的負荷(本質的な難しさ)が高い。v2は用語ボックスで前提知識を都度供給し、章の順序で理解を積み上げることで負荷を分割統治する。代わりに文章量が多く、読了への時間コストは約2倍。v1は情報を捨てることで外在的負荷を下げるが、捨てた部分の理解は保証しない。

走査パターン(F/Zパターン)

スキャン耐性はv1、精読満足度はv2

Webの読者の多くは流し読み(スキャン)から入る。v1はカード・数字・色でZ字走査に引っかかる「アンカー」が多く、30秒で要点に到達できる。v2は明朝の見出しと余白で「読ませる」構えを作り、腰を据えた読者の満足度と信頼感(編集された印象)で勝る。読者の投入時間によって最適解が反転する。

⑤ デザイン言語の違いデザイントークン比較

同じ「ネイビー基調・見出し明朝×本文ゴシック」でも、トークンの思想が正反対に近い。

トークンv1(zukai-clarity)v2(editorial-navy)設計思想の差
背景ブルーグレー #f8fafc(1色固定)生成り #f7f4ee ×ネイビー #131e36 の交互v1=無地のキャンバス/v2=章のリズムを背景で作る
色の役割意味色5系統(青=変更/緑=OK/赤=NG/琥珀=注意/紫=相手方)抑制3色(藍・弁柄・金)+明暗v1=色が情報(凡例的)/v2=色は品位(装飾的最小限)
形状角丸10〜14px・ピル多用(柔・親しみ)角丸ゼロ・直線基調(硬・格調)丸み=カジュアルさの調整弁
アイコン絵文字28個を分類記号として使用ほぼ不使用(○△✕と英字ラベルで代替)v1=瞬間識別優先/v2=文字の統一感優先
ラベル言語日本語+丸数字(①②…)英字レタースペース(SECTION 01 / WHAT CHANGED)v1=誰でも読める/v2=誌面の「編集感」を演出
本文密度15px・行間1.7・短文14px・行間2.0・長文v2は行間で長文の圧迫感を逃がす

⑥ 使い分けの結論FRAMEWORK: 2軸ポジショニングマップ

横軸=読者の投入時間(走査→通読)、縦軸=情報の見せ方(構造の可視化→文脈の言語化)でマッピングすると、両者は対角に位置し、V3はその中間を埋める。

構造の可視化(図解)
文脈の言語化(読み物)
◀ 走査型(30秒〜)
通読型(15分〜)▶
v1 図解版会議・説明・初見の共有に
v2 読み物版学習・研修・深い理解に
V3 統合版両者の部品を1本の物語に

※ 推奨の使い分け:初見の相手への説明・スライド代わり=v1/じっくり学ぶ・配布資料=v2/1本だけ残すなら=V3。

⑦ V3統合版の設計判断(どちらから何を採ったか)

MECE分解の結果に基づき、各トピックの「詳しい側」を採用元にした。ベーストンマナは editorial-navy(読み物の骨格に図解部品を移植)。

V3のセクション採用元統合時の処理
S01 何が変わったか(用語・柱)v2v1v2の用語・PILLARに、v1の執行強化詳細・その他改正を柱として吸収(4本→6本)
S02 Before/After フロー図v1絵文字を除去し、editorial-navyトークンで再スタイリング
S03 本当の射程(○△✕)+OK/NG例v2v1v2の○△✕の直後にv1のOK/NG2カラムを接続し「原則→実例」の流れに
S04 スキーム図+4つのガード統合v1の「4つの鍵」とv2の「GUARD」は同一内容のため1回に統合。スキーム図はv1由来
S05 業界ユースケース6枚v2そのまま採用
S06 生データの理由+加工4分類v2そのまま採用
S07 賛否の対立+残る課題v1v2v1の賛否カード(会派名・付帯決議)とv2の引用・課題3点を1章に接続
S08 日・米・欧・中比較v2そのまま採用
S09 タイムライン+チェックリストv1v1の詳細タイムラインを直線スタイルに変換。チェックリストは両版共通のため1本化

方法論ノート

計測方法(再現手順):2026-07-30、PowerShell 5.1にて両HTMLを読み込み、(1) <style>内を正規表現で抽出しCSS行数・カスタムプロパティ数・hexユニーク色数・border-radius出現数を計数、(2) </head>以降からタグと空白を正規表現で除去して可視本文文字数を計測、(3) <h2>/<h3>タグとUnicode絵文字範囲の出現数を計数した。読了時間は日本語平均読速500字/分で換算。
限界:トピックのMECE分解と「詳しい側」の判定は筆者(AI)の質的判断を含む。絵文字計数はUnicode範囲による近似で、記号(▼➔等)の一部を含む。認知科学の適用は理論に基づく推論であり、実読者でのA/Bテストは未実施(検証するなら読了率・理解度クイズ・NPSで測るのが次の一手)。